伝説のガールズバンド“SHOW-YA”の魅力を過去のライブ映像で存分に楽しもう!

2020.08.05鈴木宏和

show001復活した自主主催イベント「NAONのYAON」が、2013年より7年連続で開催されていたりするので、現在ではSHOW-YAを知っているという若い世代の音楽ファンも多いのかもしれない。そしてもし、「SHOW-YAってどんなバンド?」と訊ねたならば、きっと「熟女バンド」とか「オバさんバンド」などと答えが返ってくるのだろう。

間違いではない。デビューの年を考えれば、確かに熟女だし、オバさんだ。かく言う僕らにしても、もう立派なオッサンなのだから。それでも、SHOW-YAとほぼ同じ時代を今日まで生きてきた中高年としては、「おいおい軽々しく言うなよ」と口を挟みたくなってしまう。なぜって、SHOW-YAは当時の純真な青少年音楽ファンにとって、とんでもなく魅惑的で刺激的なバンドだったのだ。初めて出会った時の衝撃と言ったら、それこそ雷に打たれたかのようだったと記憶している。

魅惑的で刺激的だったもの。それは何より、音楽性だ。僕は多くの同世代と同じように、出世作シングル「限界LOVERS」(1989年)がSHOW-YAとの出会いだったのだが、J-POP、いや歌謡曲全盛の音楽シーンのメインストリームで真っ向勝負していながら、「限界LOVERS」も連続ヒットとなった次のシングル「私は嵐」も、大胆なまでにヘビーメタルであった。しかも、演奏も歌もホンモノ。その楽曲としてのカッコ良さと、バンドの道場破り的な気概に、すっかりやられてしまった。

だがしかし、そこに至るまでにSHOW-YAは、実はかなりの遠回りを強いられていた。というのも、ヤマハのバンド・コンテストの女性部門でグランプリを獲得し、デビューへの足がかりを掴んだ実力派でありながら、いざ蓋を開けてみればアイドル・バンド路線で売り出されていたのだ。

リリース音源にしても、85年のデビュー曲「素敵にダンシング(Coke Is It)」以降、「しどけなくエモーション」「ONE WAY HEART」(86年)、「その後で殺したい」「水の中の逃亡者」「孤独の迷路(ラビリンス)」(87年)までのシングル6曲すべてが、タイトルからも想像できるように、いわゆるヒットメイカー的な作家陣のソングライティングによるもの。自作の楽曲は、1曲も採用されていない。ジャーニーのジョナサン・ケインとチープ・トリックのリック・ニールセンという、超豪華コンビによる共作曲をボーカルの寺田恵子が日本語に訳した、続く「愛さずにいられない-STILL BE HANGIN' ON-」(88年)の後、通算8曲目にして、ようやく自らソングライティングに関わることができたというわけだ。それが大ヒットしたのだから、バンドとしては、まさに溜飲が下がる思いだっただろう。

もうひとつ、魅惑的で刺激的だったもの。それは、ほかでもない寺田恵子その人だ。当時は思春期〜青春期ど真ん中だったので、どうしてもオトコ目線になってしまうことを、ご容赦いただきたいのだが、とにかく女っぷりが良かった。パワフルな中にも色気があって、ちょっと憂いもあったりして、要するにエロかったのだ。今よりもはるかに清純さや無垢さが強調されていた、アイドル勢との違いは歴然。自身がアイドル・バンドを標榜させられていたことに、ジレンマを感じながらの日々だったのかもしれない。それでも十二分に、寺田恵子の姉御感とエロさは際立っていた。今でこそ、自分で自分の歌を「エロい」と笑う彼女が、まだ20代半ばのころの話だ。

その後も紆余曲折があり、91年に寺田恵子がバンドを脱退するも、05年にオリジナル・メンバー5人で再結成を果たしたSHOW-YA。ライブ中心に精力的な活動を展開し、08年には17年ぶりに「NAONのYAON」を復活させた。同時に音源制作にも着手し、12年に22年ぶりとなるニュー・アルバム『GENUINE DIAMOND』、13年には23年ぶりとなるニュー・シングル『V.S. MYSELF』をリリース。その後カバー企画作品を発表し、デビュー30周年の2015年にニュー・アルバム『PROGRESS』をリリースしている。そして17年には、配信限定シングル「愛をとりもどせ!!(King & Queen Version)/NO REGRETS」(「愛をとりもどせ!!」ではクリスタルキングとの共演が実現!)と、新生SHOW-YA3作目のニュー・アルバム『AURORA』をリリース。

その勢いのままに、デビュー35周年のアニバーサリー・イヤーである2020年に突入したSHOW-YA……だったのだが、周知の通りのコロナ・ショック。そこで歌謡ポップスチャンネルでは過去のライブ映像を厳選して紹介。05年10月にNHKホールで開催されたファン待望の復活ライブ「SHOW-YA 大復活祭~20th Anniversary Live〜」(8月7日(金)後10:00~)を皮切りに、12年5月恵比寿リキッドルーム開催の「SHOW-YA HARDEST ROCK」(8月14日(金)後10:00~)、さらには13年12月Zepp DiverCity Tokyo開催の「SHOW-YA 歴代シングル全曲披露!暴れ倒し GIG!」(8月21日(金)後10:00~)の3本を放送する。

SHOW-YAのメンバーたちも、活動の縮小や自粛を余儀なくされる中、それでも今できることをやろうと6月に無観客配信ライブを敢行した。今後も同様のライブを続けていくとのことなので、往年のSHOW-YAファンも、最近興味を持ったという新世代も、ぜひチェックしてほしい。そう、酸いも甘いも知り尽くした女性は強い。格段にパワー・アップしたSHOW-YAが、ステイ・ホームやらソーシャル・ディスタンスやらでくすぶっているネガティブな感情を、思い切り吹き飛ばしてくれるに違いない。熟女をナメてはいけないのである。
(文=鈴木宏和)

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鈴木宏和

1966年7月20日生まれ、福島県出身。大学卒業後、出版社勤務などを経て2000年に音楽ライターとして独立。洋楽中心に雑誌、新聞などで執筆をするほか、アヴリル・ラヴィーン、コールドプレイ、グリーン・デイといった海外の大物アーティストのオフィシャルライターとしても活躍。編集で携わった書籍として『地球音楽ライブラリー レッド・ツェッペリン』(東京FM出版)、監修として『ボン・ジョヴィ ホエン・ウィ・ワー・ビューティフル』(小学館集英社プロダクション)などがある。

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